【最新】魔法を失ったAirPods Max / 試される信仰心

十分に発達した科学技術は、魔法と見分けがつかない。

SF作家 アーサー・C・クラーク

Appleは12月の8日。同社のブランドとしては初めて、世にヘッドホン送り出した。AirPods Maxである。しかし、そのヘッドホンが人々に魔法を掛けることができるのか、筆者は非常に懐疑的に見ている。

魔法をかけ続けてきたApple

この10年、私たちはAppleの魔法に魅了され続けてきた。彼らは携帯電話の操作方法を再定義し、ノートパソコンを封筒から取り出し、イヤホンのケーブルを取っ払った。

それらの機器は他社の製品に比べてスペックで常に優位にいたわけではないが、優れたデザインとユーザビリティで多くの人を虜にしてきた。

AirPodsの魔法

書き出しカッコつけましたが、慣れないのでデスマス調に戻します(笑)

AirPodsの魔法、再定義と言い換えても良いかもしれません。何が画期的だったから、人々は街中で耳からうどんを垂らしているのでしょうか。もちろん「完全独立型・ノイズキャンセリング」などの要素で業界の先駆者的な存在になったこともありますが、

私は最も重要な要素として

電源のON/OFFを無くした

ことだと考えています。

AirPodsは「充電ケースに入っている状態」と「耳に装着されている状態」の2通りしか想定していません。というかそのようにデザインされています。

今考えれば当たり前のようにも思えますが、ワイヤレスイヤホンを使う時、私たちは「使い始めたい時に電源をON」にして、「使い終わる時に電源をOFF」にしますよね?他のパターンはありません。

Appleは行動が1パターンに固定されていることに着目したんだと思います。だからAirPodsには電源ボタンは無く、ユーザーが使い始めるために“蓋を開ける”という行動を電源ONに割り振り、使い終わって“ケースにしまう”という行動を電源OFFに割り振ったのです。

これは言い換えると「使っていない時 = 充電された状態」になる訳です。それは「使い始め = 満充電された状態」になっていることを意味します。

結果的にこれらの機能デザインがユーザビリティを大幅に向上させたことは間違いありません。

AirPodsの2世代目、AirPods Proに実装された無線充電機能はこれらの機能デザインを補完するものでした。家に帰った時、オフィスに着いた時、無線充電器に置く という習慣をつけるだけでAirPodsは体感として充電いらずの永久マシーンに早変わりするのです。Appleは自社のプロダクトの強みをしっかり認識した上で、必要な機能だけを追加していることが分かります。

AirPods Maxにない魔法

たしかにAirPods Proに搭載されていたノイズキャンセリングや外音取り込み機能のクオリティは他社を1歩リードするものだったことは間違いありません。恐らくそれらの機能は音質とともにより高いクオリティで提供されるであろうことは想像できます。

しかし、それらはは僕たちが既に体験したことのある魔法であって、そこに7万弱の価値があるようには思えません。

やお
やお
因みに僕は7万弱という価格にそれほど悪い印象は抱いていません。初代AirPodsが登場する前は一般大衆がイヤホンに2,3万払うことは稀だったしね…

逆に失われた魔法

“新しい魔法が見受けられない”だけでなく、AirPods Maxからは他のモデルが持っていた魔法が消えてしまっているように見受けられます。上述したイヤホンモデルのAirPodsにあった電源・充電周りの魔法。これらがヘッドホンにそのまま応用できないことは仕方がないことです。しかし、Appleは有効な対策・解決策を提示できなかったようです。

かわりにAppleが提示してきたのは、入れると「超低電力状態に切り替わり、バッテリーを長持ちさせる」というSmart Caseなるモノ。

これ、逆に言えばケースに入れないと使ってなくともバッテリーが減り続けるんじゃ…?

やお
やお
そもそもこれスマートか…?

今回Appleが最も強く訴えている魔法がこちら。その名も空間オーディオ

しかしここでも問題があり、360°から聞こえる魔法のような体験はAppleTV+内の一部コンテンツでしか味わえません。

やお
やお
AppleTV+を日常的に使っている人がはたしてどのくらいいるのか…

その他の“魔法”はこちら

やお
やお
もう知ってるんよ

Appleのエゴ

魔法がなくなっただけではありません。充電・有線接続の端子はlightningです。もう一度いいます、lightning端子です。

充電がlightning端子です。と聞いて

え、何がいけないの?

という人は恐らくライトユーザーの皆さんです。

Appleガチ勢や本業でバリバリ使っている方が使っている機器はMac ProやMacBook Pro、あるいはiPad Proだったりだと予想されます。そしてそれらの機器では充電端子にUSB Type-Cが採用されています。理由は単純で、プロユースにおいては汎用性・性能に優れたType-Cを搭載しないと話にならないからです。

話をAirPods Maxに戻します。

じゃあAirPods Maxを欲しがる人、実際に7万円を払ってまで買う人ってどういう客層なの?って考えた時、充電と有線接続に使う端子にlightningを採用したAppleの決定には多くの人が落胆し、首をかしげていることでしょう。僕も同感です。

しかし、最近のAppleは似たようなことをしがちです。例えばMacBook Proに搭載され続けているコレ。

TouchBarです。

確かにちょっと先進的でカッコいいんですけどね?プロ向けの製品に搭載しちゃいけない代物です。詳しい理由は省きますが、これはあくまでMacのライトユーザーに向けて訴求すべきギミックであって、こんなことを続けていくとAppleはプロユーザーからそっぽを向かれますよ。

試される信仰心

この記事では決して既に本製品を予約購入した方々をディスるつもりはありません。

もっと言えば実際にユーザーの手に渡り、称賛で埋め尽くされるかもしれません。その時は僕も捻じれんばかりに手のひらを変えさせていただきますよ。えぇ。

現時点における、発表されたAirPods Maxに対する僕の考えを述べさせていただきました。

皆さんは買いますか?僕は見送りました。アップル信者の皆さん。皆さんの信仰心が試されています

ではまた〜