前の記事では
- 貨幣がどのようにに創造されるのか
- 「国民の借金」という嘘
について説明しました。
しかし、結局の所MMTが主張するように借金を増やし続けたらいずれ財政破綻してしまうのではないか という不安を抱く人もいると思うので、まずは財政破綻について説明していきます。
財政破綻する国の特徴
財政破綻する国には必ず”ある特徴”があります。
- 通貨発行権・金融政策決定権が無い
- (通貨発行権があっても)国債が外貨通貨建て
- 国内の生産能力が低い
- 経常収支が赤字
- 対外純資産が少ない
これらの特徴が当てはまれば当てはまるほど財政破綻が起きる確率は高まります。
では、財政破綻の話をする時にいつも引き合いに出されるギリシャはどうでしょう
- 通貨:€ユーロ(自国で勝手に発行できない)
- 生産能力:めぼしい産業は観光産業ぐらい(GDPは日本の約1/24)
- 経常収支:少なくとも1980年以降常に赤字
- 対外純資産:日本1位、ギリシャ147位
いかがでしょう。
麻雀でいえば”役満”状態です(笑)
因みにギリシャの他にもアルゼンチンやロシアも財政破綻・デフォルトを経験しています。
彼らは自国の通貨を持っているのですが、国債が米ドル建てでした。つまり外国に対して借金を返さなければならなかったんです(返せなかったけど)
さらに両者に共通するのは自国の産業の脆弱さ。そしてロシアは当時固定相場制でした。
では、これらの国々と比較して日本はどうでしょうか
- 自国の裁量で財政・金融政策を実行できる
- 例:アベノミクス
- 国債もすべて日本円建て
- 自分で¥円を刷って返せる
- 変動為替相場制
- 世界最大の対外純資産国
- 世界一のお金持ち国家
- 経常収支黒字国
- 外貨($ドル)をたくさん獲得できる
- 供給能力が高い
- 世界第3位のGDP
ギリシャが”役満だったら日本は”逆役満”ともいえる状況です。
つまり、日本が借金を返せない債務不履行によって財政破綻する確率は文字通り0なんです。
因みに健全な財政で知られるドイツでさえも財政破綻の可能性は0ではありません。(限りなく0に近いが)
なぜなら
- 通貨発行権・金融政策決定権が無い⇐コレ
- (通貨発行権があっても)国債が外貨通貨建て
- 国内の生産能力が低い
- 経常収支が赤字
- 対外純資産が少ない
つまりドイツだけでなくEUに加盟している国々は共通通貨である€ユーロを使っているため、勝手にお金を刷ることができないんです。
これを知るとなぜイギリスはEUに加盟していたときも£ポンドを手放さず、最終的にはEUを脱退するという決定をしたのか。その理由の一端が分かるのではないでしょうか。
EUも良いことばかりではなく、文字通り国家の主権・特権の一部を集合体に委ねているのです。
財政破綻しないとしたら…

たしかに日本にはMMTポリティクス(政策)を実行する下地があります(条件①〜③)。でも、④の存在を忘れないであげてください。
- 自国通貨を持っていること(例;¥日本円、$米ドル、£英ポンド)(反例;€ユーロ)
- 変動相場制であること(反例;中国人民元)
- 国債が自国通貨建て(反例;アルゼンチン、ロシア)
- インフレ率が許す限り
MMTを批判する意見としてしばしば

というものがあります。
しかし、端的に言えばMMTとは
(条件①〜③を満たしている国では)
予算は
財政(借金の多さ)ではなく、インフレ率によって制限されるよ
といっている理論なんです。
あくまで “制限の基準が違う” と言っているだけなんです。
それでは”インフレ率が許す限り”とはどういう意味なのか、次の記事で詳しく解説していきます。
今回はここまで!