MMT(現代貨幣理論)を理解しよう③ 〜みんなインフレ・デフレを誤解している〜

  • 2020-11-28
  • 2020-11-28
  • 経済

前回の「MMT(現代貨幣理論)を理解しよう②」では

  • 財政破綻する国の特徴
  • なぜ日本は財政破綻しないのか

について解説しました。

そして記事の最後でMMTの主張として

(条件①〜③を満たしている国では)

予算は

財政(借金の多さ)ではなく、インフレ率によって制限される

ということを紹介して終わりました。

そこで今回は “インフレ率が許す限り” とはどういう意味なのかを解説していきます。

インフレ・デフレの正体

そもそもインフレってなぜ起きるのでしょうか。

多くの人が

お札がたくさん擦りすぎると価値が下がってインフレになるんだ

というボンヤリした認識の人が非常に多いです。

今回を機に正確に認識しましょう。

インフレになる条件は

総需要(民間支出や政府支出etc…) が供給能力を上回った時

です。

ここでは経済学者の三橋貴明氏のグラフを参考にして、よりシンプルにしたグラフを使用します。

それがこちら

つまり需要供給能力を上回った時にインフレが起こるんです。

これは個人でも起こります。

個人におけるインフレ

仮にあなたがフリーランスとして活動していて、あなたの生産能力を100だと仮定します。

幸いにもあなたの働きが評価され次々と仕事が舞い込んできます。その需要が仮に300だとします。(キャパの3倍仕事が殺到している状態です)

こんな時あなたはどうしますか?

恐らくあなたは仕事の単価、すなわち報酬を上げるのではないでしょうか。

それだけではありません。生産能力が100のままではこれからも需要を取り逃し続けてしまいます。そこであなたは

  • 人を雇う
  • 設備を新しくする
  • 仕事を外注する

などをして生産力の向上を図るでしょう。

すなわち健全なインフレ下の経済では “需要が生産能力を引っ張る” というサイクルが生まれるんです。

その結果賃金も上昇していることも忘れてはいけません。

もちろんデフレはその逆の現象が起こります。生産する力はあるのに仕事がないから

  • 価格を下げる
  • 設備投資をしない
  • 正社員を安い人材に置き換える(非正規・派遣・移民etc…)

ことが考えられます。まさに現代の日本で起きていることですね。

ドイツのハイパーインフレ

でもインフレが進んでハイパーインフレになったらどうすんだ!

という疑問にお答えします。

皆さんも一度は教科書でこんな写真を見たことあるのでは?

画像:札束で遊ぶ子どもたち

お札の価値が急落し子どものおもちゃになっている光景を捉えた写真です。

ではこれはなぜ起きたのでしょうか。

端的に言えば、第一次大戦後のドイツは

  • そもそも戦争によって生産力が落ちていた
  • 国の生産力を支えていた地域が戦後連合国に差し押さえられた
  • 巨額の賠償金を課されていた

という三重苦に襲われていたからです。

つまりこの図でいえば

本来の供給能力” がガタ落ちし、“総需要”(賠償金)が跳ね上がったんです。

つまり皆さんが想像するレベルのハイパーインフレが日本で起きるとしたら、戦争や3.11を遥かに超える大災害が起きて国内の産業が壊滅状態になるケースぐらいしか考えられないんです。

インフレ率が許す限り とは?

やっと本題です(笑)

まず前提条件として今の日本はゴリゴリのデフレです。ゴリゴリです。30年近くずっとデフレの国なんて日本ぐらいです(白目)

つまり先程から見てもらってるグラフの右側の状態です。

さらに重要なのはグラフの赤い部分「総需要」には政府支出が含まれている点です。

このゴリゴリのデフレから早く脱却したいんです。(安倍政権では脱却できませんでした)

ではどうすべきか。

そこでMMTは

デフレで民間の需要が足りないんだったら、政府が支出を増やしてデフレギャップを埋めようよ。

だって支出増やしても財政破綻しないんだもん。

て言っているんです。

しかし、いくらMMTが財政的な制約を受けないって言っているからといって

的なノリで5000兆円もの予算は執行できないんです。仮に執行したらどうなるか。

現在の日本のGDPが550兆円ぐらいですから、

こんな感じに需要が限界突破してそれこそハイパーインフレも考えられます。

これこそがMMT④の条件である「インフレ率が許す限り」の意味です。

条件

  1. 自国通貨を持っていること(例;¥日本円、$米ドル、£英ポンド)(反例;€ユーロ)
  2. 変動相場制であること(反例;中国人民元)
  3. 国債が自国通貨建て(反例;アルゼンチン、ロシア)
  4. インフレ率が許す限り

まとめ

いかがでしたか。インフレ・デフレについて理解は深まったでしょうか。

次回(多分最終回)は

でもインフレが過熱するまで国債を発行できるなら、税金はいらないってことになるんじゃ?

という疑問に答えていきます。